【現地レポート】人と人をつなぐ場所:バスクのシードレリア体験記《ウルダイラ編》

バスクとシードレリア文化について

スペイン北部・バスク地方を訪れるなら、ぜひ体験してほしいのが「シードレリア(シードルハウス)」訪問です。
毎年1月から4月ごろにかけて、リンゴ酒「シードラ」の新酒が楽しめる季節が到来。家族や友人と伝統料理とシードラを囲むこの行事は、バスクならではの大切な文化のひとつです。

今回は、知る人ぞ知る人気シードレリア「Urdaira(ウルダイラ)」を訪れ、その魅力を体感してきました。

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シードレリア「ウルダイラ」とは

ウルダイラは、ギプスコア県ウスルビル村にある、1990年創業のシードレリア
数々のシードルコンクールで受賞歴を持ち、その味と雰囲気が口コミで広がり、多くの人々に愛されています。

【アクセス】サン・セバスティアン中心部から車で約20分。特にイゲルド地区からはアクセス良好で、公共交通機関やタクシーでも訪れやすい立地です。

受賞したカップや盾、バスクベレー帽が棚に並ぶ
棚に並べられたトロフィーやチャペラ (バスクベレー帽。賞に輝いた証) の数々。

ウルダイラ到着!第一印象レポート

緑豊かな丘の中腹に広がるリンゴ畑。
その奥に、石造りのシードレリア「ウルダイラ」が佇んでいます。

到着した瞬間、どこか懐かしく、温かい空気に包まれました。
自然に囲まれたロケーションと、伝統を感じさせる素朴な建物。旅の疲れも忘れ、期待感が高まります。

「ウルダイラ・シードレリア」の外観 遠方より
外はリンゴ畑と広々とした敷地。公園もあり、遊ぶスペースがいっぱい!
「ウルダイラ・シードレリア」の外観 アップ
ウルダイラの伝統的な石造りの外観。

シードレリアの内部と楽しみ方

入り口の左手には、ずらりと並ぶステンレスタンク。バルのようなカジュアルな雰囲気の中、人々がシードラ (シードル) 片手に楽しんでいます。

さらに奥へ進むと、

  • 美しい景色が一望できるテラス席
  • 洞窟のような個室風の部屋
  • 木樽が並ぶ大食堂

など、さまざまなスタイルの空間が広がっていました。

「ウルダイラ・シードレリア」のレストラン窓側席の様子
美味しい食事を絶景とともに楽しめるテラス席。
「ウルダイラ・シードレリア」内部の大食堂
賑やかな大食堂。このすぐ手前に木樽が並ぶ。

スタッフはみな気さくで親しみやすく、訪れた人たちの楽しそうな笑顔が印象的です。

そして、ウルダイラでは、場所ごとに異なる樽を巡りながら、さまざまなシードラを飲み比べることができます。

樽出しシードラ飲み比べ体験

シードレリア最大の楽しみは、何といっても「Txotx!(チョッチ!)」の体験。

大樽から勢いよく噴き出すシードラ (シードル) を、自分のグラスでキャッチして、その場で飲み干します。
このスタイルならではの、フレッシュな味わいと香り!

シードル樽から直接注がれる伝統的なTxotx体験の様子
Txotxの掛け声とともに、シードラが勢いよく飛び出す。床にシードラがこぼれないように、次の人はグラスをセットして待機。

ウルダイラでは、各セクションにスタッフがいて、それぞれの樽ごとに味の違いを説明してくれます。
10種類以上の樽を、料理の合間に立ち寄りながら、たっぷりと飲み比べました。

ステンレスタンクのシードルの試飲の様子
説明を聞きながら、ステンレスタンクのシードラを樽ごとに試飲。

栓付きの樽では、自分たちで好きなときに開閉して注ぐ体験もでき、自由度も高いのが魅力です。

地元伝統料理とシードラのマリアージュ

ウルダイラでは、シードラ (シードル) と相性抜群の伝統料理が楽しめます。
定番メニューは以下の通り。

タラのオムレツ
タラを使ったフワフワのオムレツ。ピーマンと玉ねぎがタラの味わいを引き立てます。

タラのオムレツ(Tortilla de Bacalao)

タラのピーマン添え
バスクの定番料理で、タラの豊かな旨みと新鮮なピーマンが絶妙に調和した一皿。シードラと相性抜群です。

タラのピーマン添え(Bacalao con pimientos)

骨付きTボーンステーキ
豪快な厚切りのチュレタ。柔らかく噛むたびに旨みがあふれる逸品

チュレタ(骨付きTボーンステーキ)

チーズとメンブリーリョ、焼き菓子のデザートプレート
チーズ、メンブリーリョ、クルミというシードレリア定番デザートに加え、ウルダイラでは焼き菓子付き。

羊乳チーズとメンブリーリョ(カリンのような果物“マルメロ”から作られた濃厚な甘いペースト)

さらに事前予約で、クモガニタラの特製ソース添えなど、特別メニューも注文可能です。

テーブルに置かれたゆでられたクモガニ
オリーブオイルたっぷりのクモガニ。注文したら、一番最初に出てきます。

今回はクモガニも追加注文し、豪華な食事を満喫しました。

特にチュレタの味は格別で、絶妙な焼き加減と上質な脂が口いっぱいに広がり、これまで食べた中で一番美味しいと感じました!

ファミリーにも優しいシードレリア

ウルダイラを選んだもう一つの理由は、ファミリー向けの配慮が充実していること

施設内には子ども向けの公園があり、広々とした屋外スペースで、子どもたちは思いっきり走り回れます。
また、子ども用メニューも用意されており、家族みんなで安心して楽しめる環境が整っています。

【子どもメニュー】

  • チストラ (バスクのソーセージ) 入りオムレツ
  • 生ハム入りクリームコロッケ
  • 牛リブロース薄切り
  • アイスクリーム

訪れた日は快晴で、夜8時頃まで子どもたちは元気いっぱい遊び続けていました。

シードレリアから見えるバスク文化

ウルダイラで過ごすうちに、シードレリアが単なる食事処ではなく、
バスクの暮らし・コミュニティそのものであることを強く感じました。

バスク地方では、リンゴの栽培とシードラ (シードル) づくりは、何世代にもわたって受け継がれてきた大切な文化。
新酒の季節には村人たちが自然と集い、語り合い、つながりを深めてきたのです。

そして今も、地元の人も観光客も垣根なく「Txotx!」の掛け声とともに同じ空間を共有しています。
保存料や添加物を使わない自然な製法で作られたシードラは、そんなバスクの誇りと知恵の象徴だと改めて実感しました。

まとめ:ウルダイラで味わった「バスクの今」

ウルダイラでの体験は、バスク文化の「おいしい・たのしい・あたたかい」が凝縮された時間でした。

特に、

  • 家族連れやグループ旅行にぴったりな設備
  • サン・セバスティアンから気軽に行ける立地
  • 本場ならではのシードラ (シードル) と料理

これらは、自信を持っておすすめできるポイントです!

シードル好きな方はもちろん、バスク文化に触れたい人、家族で特別な思い出を作りたい人にも、心から訪問をおすすめします。

ぜひ、バスクの「今」と「伝統」が息づくウルダイラで、忘れられないひとときを体験してください!

▼実用情報まとめ

【シードレリア名】Urdaira(ウルダイラ)

【住所】Urdaira baserria, Aginaga Auz. 63 | 20170 Usurbil (Gipuzkoa)

【アクセス】サン・セバスティアン(イゲルド地区)から車で約20分

【予約】推奨(特に週末)

【子ども対応】公園あり、子ども用メニューあり

【その他】タクシー利用可、ファミリー歓迎

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