先日、スペイン北部にあるバスク美食の街、ゲタリアのワイナリー「ガインツァ」を訪れた帰りに、チャコリの産地として知られるアイア村のシードレリア「イセタ(Izeta)」でランチを楽しんできました。

今回選んだのは、伝統的なシードレリアのメニューではなく、併設レストランでのアラカルトランチ。豊かなバスクの風土と味覚をゆっくり堪能できる、特別なひとときでした。
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緑に囲まれたバスクの隠れ家「イセタ」
ゲタリアから車で山と海の間を走ること約15分。のどかな風景の中に佇む「イセタ」は、自然に溶け込むように建つシードレリアです。


1983年、自家製シードラ (シードル) の提供を始めたことがきっかけでオープンしたこの場所は、今では高品質なシードルと本格料理を味わえる人気店に成長。
広大な敷地内には、300人以上を収容できるレストラン、シードル樽が並ぶシードレリア、テラス席があり、週末には地元の家族連れや観光客で賑わいます。
駐車場も広く、子ども向けの公園があるので、家族での訪問にもぴったりです。

温かみと活気が共存する空間
店内に一歩足を踏み入れると、木の温もりと開放感に包まれます。左側には、醸造所としての趣を残すシードレリアがあり、大きな樽が並ぶダイナミックな光景に思わず目を奪われます。

この日はまだランチには早い時間にもかかわらず、すでに何組かのグループがテーブルを囲んでいて、活気のある雰囲気に期待が高まります。
スタッフの対応も非常にフレンドリーで、丁寧かつてきぱきとした接客が心地よく、初めての訪問でも安心して過ごせました。
アラカルトで楽しむ、バスクの味覚
この日はレストランメニューから気になる料理をいくつかセレクト。

タコと生ハムたっぷりのイセタサラダ
まずは「イセタサラダ」。柔らかく茹で上げられたタコと、香り豊かな生ハム、ツナが贅沢に盛り込まれていて、シンプルながらも素材の力を感じる一皿です。

自家製クリームコロッケ
続く自家製コロッケは、クリーミーなベシャメルと香ばしい衣のバランスが絶妙。素朴な味わいながら、手が止まりません。

骨付きTボーンステーキ(チュレタ / Chuleta)
メインには、名物のTボーンステーキ「チュレタ」をシェア。
豪快な厚みながら、表面は香ばしく、中はジューシーでレアに仕上げられています。ナイフを入れるたびに肉汁があふれ、噛みしめるほどに赤身肉の旨味が広がります。
デザートも主役級の存在感
食後には、「イルランデス(アイリッシュ・コーヒー)」と、自家製パフェをチョイス。
イルランデスは香ばしいコーヒーとウィスキーに、ふわりと軽い生クリームが重なり、食後にぴったりの一杯。

そして登場した巨大パフェに、隣のテーブルから「誕生日みたいだね!」との声。
この日は相席スタイルだったこともあり、自然と会話が生まれ、バスクらしい温かな交流の時間にもなりました。
シードルとのマリアージュを楽しむ
もちろん、ここはシードレリア。イセタ自家製のシードラ (シードル) はぜひ味わってほしい一品です。
ボトルで提供されるシードルは、すっきりとした酸味とほのかな苦味が心地よく、料理との相性も抜群。口の中をさっぱりとリセットしながら、次の一皿へと誘ってくれます。

晴れた日は、グラスを片手にテラスから見える丘陵の景色を楽しむのもおすすめ。まるでバスクの自然に抱かれるような、穏やかなひとときが流れます。

イセタで体感する「バスクの豊かさ」
イセタでのランチは、ただ食事を楽しむだけでなく、バスクの風土、人々の温かさ、そして文化に触れる貴重な体験でした。
観光地のゲタリアやサラウツからもアクセスしやすく、旅の途中に立ち寄るにはぴったりのスポットです。
訪問の際は、特に週末や観光シーズンは混み合うため、事前予約がおすすめ。
予約の際は電話で。車でのアクセスも便利ですが、ぜひ食後には周囲の自然を散策しながら、ゆったりとした時間を過ごしてみてください。

【コラム】バスクのシードレリア文化とは?
バスクのシードレリアは、冬から春にかけて新酒のシードラ (シードル) が樽で解禁される時期に、伝統料理とともに楽しむのが一般的です。
「トク・トク・トク…」とシードルを高い位置からグラスに注ぎ、一口で飲み干すのが醍醐味。こうしたスタイルを楽しめるのは多くが5月初旬まで。
一方、イセタのように通年営業のレストランを併設している場所では、ゆっくりとバスクの料理を味わうことができます。旅のスタイルに合わせて、どちらもぜひ体験してみてください。
バスクの恵みを、イセタで。
自然と人の温もり、美味しい料理が織りなすこの特別な場所で、忘れられないランチタイムを過ごしてみませんか?
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