「せっかくバスクまで来たのだから、サンセバスチャンから日帰りで行ける美しい町も訪れたい。」――そんな旅行者は少なくありません。それなら、絵のように美しい漁師町ゲタリアを訪れてみませんか?
ゲタリアは、サンセバスチャンからバスでわずか1時間。中世の面影を残す旧市街と、大西洋の絶景が広がるこの小さな港町は、まさに心安らぐ隠れ家です。
「でも、どんな見どころがあるの?」 「効率的な回り方を知りたい」 「ゲタリアならではの美味しいものが食べたい」
そんな悩みを持つ方のために、バスク在住10年以上の筆者が、何度もゲタリアを訪れた経験をぎゅっと凝縮。初めての方でも迷わず楽しめる**「ゲタリア観光完全ガイド」**を作成しました。
記事では、見逃せない絶景や街歩きスポット、現地で味わいたい名物料理までをコンパクトに紹介します。
初めてでも迷わず回れる「目的別モデルプラン」とオリジナルマップも掲載しているので、限られた時間でもゲタリアを最大限に楽しめます。このガイドを最後まで読んで、美食と絶景に彩られた、特別な一日を計画してみてください。
ゲタリア|美食と絶景を堪能する港町

バスク地方の旅で外せないのが、美食の都サンセバスチャン。そこから路線バスで約1時間、世界中の食通を魅了する小さな港町ゲタリアにたどり着きます。
山と海に囲まれたこの漁師町は、港に水揚げされたばかりの新鮮な魚介を豪快な炭火焼で楽しむ**「美食の宝庫」**として知られています。
また、ゲタリアはバスクを代表する微発泡白ワイン**「チャコリ」**の主要な産地。キンと冷えたチャコリを片手に、中世の美しい街並みや一面に広がるビーチを眺める時間は、まさに至福のひとときです。
ゲタリアの見どころ5選|歴史と美食を満喫する名所巡り
1.中世の街並みとメインストリートの散策

バス停を降りてすぐ、ゲタリアの心臓部「Kale Nagusia(カレ・ナグシア)」へ。石畳が続くメインストリートには、まるで中世にタイムスリップしたかのような美しい街並みが広がります。
この通りはバル巡りのメッカとしても有名。冷えたチャコリを片手に、新鮮な魚介や名物のアンチョビを気軽に味わってみましょう。バスク流に何軒もハシゴしながら、地元の人との交流を楽しむのも◎。
▶ゲタリアのおすすめバル&バル巡りプランはこちら

通り沿いには地元の特産品を扱う土産店や、地元ブランドの衣類店も軒を連ね、散策しているだけでもゲタリアの豊かな文化を感じられます。



2.サン・サルバドル教会(Iglesia de San Salvador)


天井から吊るされた船の模型は港町ならでは
メインストリートの奥に佇む、15世紀に建てられた荘厳なゴシック様式の教会。ただ美しいだけでなく、歴史的にも重要な場所です。
- 1397年にギプスコア県の最初の議会が開催
- フアン・セバスティアン・エルカノ(ゲタリア出身。船で世界一周を達成)が洗礼を受けた
また、教会の後陣の下には、港へと続く神秘的なトンネルがあります。通り抜けて、港の景色も楽しんでみてください。


3.【絶景フォトスポット】展望台と海沿い遊歩道

ゲタリアのシンボル、フアン・セバスティアン・エルカノの記念碑には、実は一押しのフォトスポット。町に3つあるエルカノ像のうち、石壁の上に建てられたエルカノの記念碑には展望台が併設されています。そこから眺めるゲタリアの街並みと大西洋のパノラマは絶景。
さらに時間があれば、隣町サラウツまで続く海沿いの遊歩道(片道約4.7km)を歩いてみるのもおすすめ。サンティアゴ巡礼路の一部でもあるこの道からは、青い海が広がる、息をのむような景色を堪能できます。

帰りは、サラウツから約30分おきに運行している路線バス(Zumaia行きUK10)を利用すれば安心です。


4.ゲタリアの美食体験|炭火焼・ワイナリー・アンチョビ工房
世界中の食通を魅了するゲタリアでは、地元グルメを見る、知る、体験するという五感すべてで楽しむことができます。
炭火焼レストラン(Asador)の焼き場見学

路地裏のレストランから漂う香ばしい匂いとともに、豪快に魚を焼く姿を間近で見学できます。
チャコリのワイナリー訪問

チャコリのワイナリーを訪れて、製造過程や美しいブドウ畑を見学。地元食材とワインのペアリングも楽しめます。
▶実際のワイナリー訪問レポートはこちら
老舗工房「Maisor」でアンチョア作り

アンチョビの老舗工房「Maisor」では、併設されたショップやバルを訪れたり、アンチョビ製造体験に参加。ゲタリアのアンチョビ文化や歴史に触れられます。
5.【異なる魅力】ふたつのビーチ
ゲタリアには、タイプの異なる2つのビーチがあります。
【旧市街からすぐ】マルコルベ(Malkorbe)ビーチ

旧市街からすぐの穏やかなビーチ。波がほとんどなくお子様連れでも安心して遊べます。監視員も常駐しており、遠くにはゲタリアのシンボル「サン・アントン山」を望めます。
ガステタペ(Gaztetape)ビーチ

こちらは波があり、サーフィンに最適。サン・アントン山からも近く、より自然な雰囲気を楽しめます。
「エル・ラトン(ネズミ)」と呼ばれるサン・アントン山。実は、町と桟橋でつながっており、歩いて渡ることができます。山頂までは片道2km程度。頂上からは、一面に広がる海と山を一望できます。


+αでバレンシアガ美術館
ファッションが好きな方には、ゲタリア出身で世界的なファッションブランド「バレンシアガ」の創設者クリストバル・バレンシアガの美術館へ足をのばしてみるのもおすすめ。モダンな建物の中は、静かで洗練された空間。革新的なデザインの数々をじっくり鑑賞できます。
おすすめモデルコース3選|日帰り・半日で満喫するゲタリア
ゲタリアの魅力を最大限に楽しむための、目的別モデルコース3つを提案します。前のセクションで紹介した【町の見どころ】を盛り込みました。旅のスタイルに合わせて選んでみてください。
💡 これらのモデルコースは、記事の最後に掲載するオリジナルマップと合わせてご覧いただくと、よりスムーズに動けます。
1.【半日プラン】午前中出発でサクッと楽しむゲタリア散策
サンセバスチャンから午前中に出発し、夕方前には戻るコンパクトなプランです。初めてゲタリアを訪れる方や、夕方から別の予定がある方におすすめ。
中世の街並みとメインストリートを散策

バス停からすぐの「Kale Nagusia(メインストリート)」へ。石畳の通りを歩きながら、歴史的建物や土産物巡りを楽しみます。
サン・サルバドル教会を訪問

通りの中央にある歴史的な教会を見学。そのあとは裏手にあるトンネルを抜けて、港の景色を楽しみます。
ゲタリアのシンボル「エル・ラトン(サン・アントン山)」への散歩

港と町をつなぐ桟橋を渡って、ゲタリアのシンボル「エル・ラトン(ネズミ)」と呼ばれるサン・アントン山へ。山頂を目指さなくても、道中からの美しい港の景色は絶好のフォトスポットです。
ランチはバルで手軽に

散策後は、メインストリートに戻ってバル巡り。冷えたチャコリとタパス(ピンチョス)で、軽めのランチを。
▶ゲタリアのおすすめバルはこちら
2.【日帰りプラン】ゲタリアの魅力を王道で堪能
ゲタリアの美食、絶景、歴史のすべてをバランス良く楽しみたい方におすすめの王道プランです。
午前:歴史地区の散策と見どころ巡り

まずは、サン・サルバドル教会やエルカノ記念碑など、ゲタリアの見どころをじっくりと巡ります。
昼:炭火焼レストランで豪華ランチ

ランチはゲタリア名物の魚介の炭火焼レストランへ。港町ならではの新鮮な魚介類を堪能しましょう。
▶ゲタリアおすすめレストランはこちら
午後:絶景の遊歩道、またはビーチへ

食後は、隣町サラウツまで続く海沿いの遊歩道を散策。美しい海とブドウ畑を楽しみます。疲れたら、波が穏やかなマルコルベビーチでのんびりするのもおすすめ。
雨の日・気分を変えたい日は
天気が悪い場合は、「バレンシアガ美術館」へ。建築も楽しめる屋内で、バレンシアガの作品を深く知ることができます。
3.【ワインラバー向け】チャコリと美食を堪能するグルメプラン
ゲタリアのチャコリと美食に焦点を当てた、特にワイン好きの方におすすめのプランです。
午前:ワイナリー訪問でチャコリを学ぶ

ゲタリア郊外にあるチャコリのワイナリー「ガインツァ」などを訪れ、ブドウ畑を見学し、試飲を楽しみます。
昼:旧市街へ戻り炭火焼レストランへ

ワイナリーでチャコリを堪能した後は、ゲタリアに戻って炭火焼レストランへ。ここでしか味わえない地元のワインと食事のマリアージュを楽しみます。
午後:港沿いを散策&お土産探し

食後は、港沿いをのんびり散策。メインストリートにある「Salanort」のショップなどでお土産を探すのもおすすめです。
ゲタリアで絶対味わいたい美食3選と+α
ゲタリアを語る上で欠かせないのが、世界中の食通を魅了する美食の数々。ここでは、特に外せないゲタリアグルメ3選と、ぜひ試してほしい隠れた名物をご紹介します。
1.魚介の炭火焼

ゲタリアの名を世界に知らしめた、港町ならではの郷土料理。レストランの店先にある焼き場で、新鮮な魚介を専用の焼き網に挟み、絶妙な火加減でじっくりと焼き上げます。
炭火の香ばしい香りと、魚本来のふっくらとした旨みが口いっぱいに広がる、シンプルな調理法だからこそ素材の良さが際立つ一皿です。
2.アンチョビ(Anchoa)

現地では「アンチョア」と呼ばれ、カンタブリア海で獲れる高品質なカタクチイワシを、伝統的な手作業で丁寧に仕込んでいます。
日本の一般的なアンチョビのような強い塩気はなく、驚くほど繊細で、とろけるような食感と濃厚な魚の旨みが特徴です。写真のようなオイル&ビネガー漬けもポピュラー。メインストリートのバルやレストランで気軽に楽しむことができます。
3.チャコリ(Txakoli)

ゲタリアを代表する、微発泡の白ワイン。フレッシュで爽やかな酸味があり、魚介料理との相性は抜群。高い位置からグラスに注ぐことで、味わいが引き立ちます。
ゲタリアの美しい海を眺めながら、キンと冷えたチャコリを味わえば、旅気分も盛り上がります。
+α|地元で愛される絶品ジェラート


ゲタリアの隠れた名物として、ぜひ試してほしいのがこのジェラート。旧市街にあるちいさなジェラート店「ドナ・ドニ(Dona Doni)」は、数々の賞を受賞した世界レベルの実力店。
コンクールで優勝した「赤トウガラシとマンゴー (Mango Ezpeleta)」はここゲタリアでしか食べられない一品。フレッシュなマンゴーの甘味とスパイスの組み合わせが絶妙です。
海に来るとジェラートを食べる地元の人にならって、アイス片手にビーチを歩いてみるのもいいですね。
ゲタリア観光のコツ
アクセス情報
路線バスで行く場合

車がない場合、サンセバスチャン→ゲタリアへは路線バス(Lurraldebus社 UK10番)でアクセスできます。バスは30分〜1時間に1本程度運行しており、日帰り旅行に便利。
●バス(Lurraldebus社)
• 路線名:UK10(Donostia – Zumaia)
• 所要時間:1時間前後
• 発着場所:
◦ 出発:Askatasunaren Etorbidea / Avda. de la Libertad, 34 (コンチャ海岸から近い中心部)
◦ 到着:Getaria Frontoia
▶最新の時刻表・運行情報は Lurraldebus公式サイト で確認できます。
※ビルバオから直接ゲタリアに行く方法は車だけ。バスや電車を利用する場合は一度サンセバスチャンに行き、そこからゲタリアに行きます。
車で行く場合
車だとサンセバスチャンからは約30分。駐車場はゲタリアの港側にあります。

ビルバオからは約1時間で到着。
おすすめの時間帯・営業情報
バル巡りの時間帯

ピンチョスを最大限に楽しむなら、午前中の早い時間が狙い目。 多くのバルでは、9:30から13:30頃にかけて作りたてのピンチョスがカウンターにずらりと並び、活気あふれる雰囲気を楽しめます。夜になると、種類が少なくなったり、乾燥しているピンチョスもあるため、この時間帯を狙うのがおすすめ。
※観光客が多いエリアでは、日中いつでもピンチョスや小皿料理を提供している店も多いです。バルの詳しい営業時間についてはこちらの記事をチェックしてください。
レストランの営業時間

ランチは13:00〜15:30、ディナーは20:00〜22:30頃が一般的。バスク地方のランチは少し遅めの14時頃から賑わい始めます。少し早めの時間帯に行けば、スムーズに入店できることが多いです。
夏のバカンス時期や週末は特に混み合うため、気になるお店は事前に予約をしておくことをおすすめします。
服装と持ち物

ゲタリアの旧市街は石畳が多いため、歩きやすい靴は必須。服装は、街全体がカジュアルな雰囲気で観光客も地元の人もラフな格好の人が多いです。レストランも気軽なスタイルでOK。
また、夏でも朝晩は冷え込むことがあり、突然雨が降ることも少なくありません。薄手の羽織りものや折りたたみ傘を携帯しておくと安心です。
ゲタリアの美食&観光オリジナルマップ
この記事で紹介したスポットをオリジナルマップにまとめました。ゲタリアへの旅のお供にぜひご活用ください。(表示されない方はこちらのリンクをクリック)。
まとめ|小さな町で大満足。ゲタリアは観光×美食の理想郷
バスク旅行で、ゲタリアがおすすめな理由は以下の3点。
- 小さい町だからこそ、観光スポットがまとまっている
- サンセバスチャンからの気軽な日帰り旅行に最適
- 炭火焼、ワイン、特産品など美食を五感で楽しめる
自分の好みに合ったモデルコースで、ゲタリアの魅力を存分に味わえる旅を計画してみてください。