- バスク料理ってなんで有名なの?
- フランスやスペインの料理とは違うの?
- レストランでバスク料理を楽しみたい
バスク地方は世界トップクラスの星付きレストランや一口料理のピンチョスなど、美食文化で知られています。バスク地方はスペインとフランスの二大国の間で、独自の言語や文化を保ってきました。何も知らずにバスク地方を訪れ食事をすると、フランスやスペインとは異なる味わいに戸惑ってしまいます。
この記事では、バスク地方在住で元ワイン専門職の筆者が、バスク料理の特徴と代表的な郷土料理、地元のお酒を解説します。記事を読めば、旅先やレストランでバスク料理の世界をより深く楽しめます。
バスク地方の美食を最大限に楽しむために、バスク料理の特徴と定番メニューを知っておきましょう。現地ではプロが教えるバスク料理教室やピンチョスツアーもあるので、特別な食体験をしたい方はぜひチェックしてみてください。
バスク地方ってどこ? | 独自の言語や料理がある文化圏

バスク地方はスペイン北部とフランス南西部にまたがっています。バスク地方は単なる地域名ではなく、独自の文化と歴史を持つ「ひとつの国」のような存在です。スペインにはバスク州とナバラ州、フランスにはラブール、スール、バス=ナヴァールの3つの地域があります。
バスク地方は、バスク語で「Euskal Herria(エウスカル・エリア)=バスク語が息づく土地」と呼ばれています。現地ではスペイン語やフランス語に加え、独自の言語「バスク語(エウスカラ)」が話されています。祭りや音楽、スポーツ、食文化もバスク独自のアイデンティティに彩られています。
バスク料理は、国境を越えて受け継がれてきたバスク文化の多様性と豊かさの象徴です。
バスク地方が「美食の地」と言われる3つの理由

バスク地方が世界有数の「美食の地」と言われる理由は3つあります。
- 新鮮な食材が豊富
- 社交場として食文化が発展
- 伝統と革新の両方を重んじる気風
バスク地方はピレネー山脈やビスケー湾に囲まれ、山や海の幸が豊富です。穏やかな丘陵地帯には羊や牛が放牧され、牧歌的な風景が広がります。雨が多く温かな気候で、野菜や果物もよく育ちます。
食べるのが大好きなバスク地方の人々ですが、料理そのものより、食事を一緒に楽しむことを大切にしています。バスク地方には、バスク語で「エルカルテ(elkarte)=人の集まり」と呼ばれる美食倶楽部があります。美食倶楽部にはキッチンとテーブルがあり、家族や友人と一緒に料理をしながら食事を楽しみます。
一口料理のピンチョスを楽しみながら、みんなでバルを巡る「ハシゴ酒」も有名です。美食倶楽部もバル巡りも、食と社交が結びついたバスク地方の食文化を象徴しています。

1970年代には、バスク地方の食文化に新たな流れが生まれました。地元の若いシェフたちがフランスのヌーベルキュイジーヌに刺激を受け、洗練された調理法を取り入れました。「新バスク料理(Nueva Cocina Vasca)」と呼ばれる伝統と革新が融合したスタイルは、今も世界から注目を集めています。
バスク地方が美食の地と言われるのは、自然の恵みと伝統を尊ぶ姿勢、時代に応じ進化し続ける創造性、社交場としての食文化が三位一体となり息づいているからなのです。
バスク地方・料理の特徴 | 食材や味付け

自然豊かなバスク地方で育まれたバスク料理は、和食との共通点が多いです。
- 素材を生かす味付け
- 地産地消の精神
- 旬を楽しむ文化
バスク料理は新鮮な材料を生かすため、塩とオリーブオイルを使ったシンプルな味付けが基本です。フランスのバスク地方ではエスペレット唐辛子やバター、クリームも使用します。
地元で高品質な食材が手に入るので、積極的に地元産の食材を使います。海ではタラ(バカラオ)やイカなどの魚介類が取れます。内陸部は、牛肉や羊のチーズ、野菜や豆類が有名です。季節ごとの味わいを楽しむのも特徴です。春にはホワイトアスパラガスやアーティチョーク、秋にはキノコやジビエが食卓を彩ります。

バスク料理が和食と異なるのは、ソース類がよく使われる点です。
- タラのゼラチンを乳化させたピルピルソース
- ピルピルソースにパセリを加えたサルサ・ベルデ(グリーンソース)
- 干し赤パプリカを効かせたビスカヤ風ソース
バスク料理は、素材の持ち味と旬を大切にする点で和食と似ています。味付けはシンプルながら、ソースやエスペレット唐辛子、オリーブオイルがバスク料理に独自の深みを添えています。
スペイン・バスク地方の代表的な郷土料理

バスク料理の魅力は、海と山の恵みを活かした味わいにあります。伝統メニューから世界に広まった名物まで、バスク地方を代表する郷土料理をご紹介します。
スペイン風パエリアはバスク料理ではありません。パエリアの本場はスペイン東部のバレンシア地方です。バスク地方でも観光客向けのレストランではパエリアが食べられますが、地元の郷土料理の方が美味しいことが多いです。
■バカラオ・アル・ピルピル(Bacalao al pil-pil)

タラをオリーブオイルとニンニクを乳化させた「ピルピルソース」で仕上げる伝統料理です。タラの旨味とソースのとろみが絶妙です。
■マルミタコ(Marmitako)

カツオやマグロをジャガイモやトマトと煮込んだ料理です。漁師料理として港町を中心に親しまれてきました。材料のビンチョウマグロが旬の夏によく食べられます。
■チュレタ(Chuleta)

骨付き牛肉のステーキで、豪快な炭火焼きが定番です。表面は香ばしく中はジューシー。塩のみのシンプルな味つけが肉の旨味を引き立てます。バスク地方のリンゴ酒シードラの醸造所「シードレリア(サガルドテギ)」の名物料理として有名です。
■ラ・ビーニャのバスクチーズケーキ(Tarta de queso de La Viña)

表面をこんがりと焼き上げ、内側はとろけるように柔らかいチーズケーキ。サンセバスチャンの老舗バル「La Viña」で生まれ、今では世界中で愛されるスイーツとなりました。日本でも「バスクチーズケーキ」と呼ばれ親しまれています。
バスク地方の郷土料理は、漁師や家庭の知恵から生まれた素朴で奥深い味が魅力です。
👉【完全ガイド】スペイン・バスク地方の代表的な郷土料理|前菜からバスクチーズケーキまで
フランス・バスク地方の郷土料理 | スペイン・バスク地方との違い

同じバスク料理でも、フランスのバスク地方ではバターやハーブ、エスペレット唐辛子などを使った、より繊細で香り高い味わいが楽しめます。代表的な料理には次の通りです。
- アショア(Axoa):仔牛のひき肉とピーマン、玉ねぎを煮込んだ家庭料理。エスペレット唐辛子がほんのり香り、素朴ながら深みのある味わいです。
- ガトー・バスク(Gâteau Basque):サクッとした食感のクッキー生地にカスタードクリームやブラックチェリーのジャムを包んだ伝統菓子。フランス・バスク地方を代表するデザートです。
スペインのバスク料理は素材の味わいや力強い旨味が魅力です。一方、フランスのバスク料理は香りと余韻を感じさせる上品な味わいが特徴です。
バスク料理と地元のお酒 | 地ワインのチャコリ、リンゴ酒のシードラ

料理と同じく飲み物にもバスク地方らしい個性と土地の恵みがつまっています。バスク地方は海風と山の気候が交わる特有の環境で、ワインやリンゴ酒シードラ(Sidra)の醸造が盛んです。
■白ワイン チャコリ(Txakoli)

微発泡の白ワインで、魚介類とよく合う爽やかな味わいです。香りを引き出し酸味を和らげるため、高い位置から注ぐ独特のサーブ方法も見ものです。
■ 赤ワイン リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)

バスク州内陸のアラバ県(Álava)にあるリオハ・アラベサは、スペイン三大ワイン産地「リオハ」の一部。標高が高く冷涼な気候が生む赤ワインはエレガントで芳醇。地元では炭火焼のチュレタ(骨付きステーキ)や仔羊のグリルと合わせるのが定番です。
■リンゴ酒 シードラ(Sidra)

リンゴから造られるシードラ(バスク語でサガルド)は、キリッとした酸味が特徴です。脂の多い肉料理から魚料理、チーズまで何にでも合います。伝統的なシードラの醸造所シードレリア(サガルドテギ)では、大樽から出来立てのシードラをグラスに注ぐ体験も楽しめます。
地元のお酒はバスク料理との相性もピッタリです。詳しくは別記事で紹介していますので、併せてご覧ください。
👉チャコリ(Txakoli)完全ガイド
👉バスク地方ワイン入門|美食の地の個性あふれるワイン文化を知る
👉バスク地方のリンゴ酒シードラ完全ガイド|Txotx体験・味・選び方まで徹底解説
どこでバスク料理を食べられる?バスク地方+東京・大阪のバスク料理レストラン

バスク料理は、スペインやフランスのバスク地方はもちろん、日本でも本格的な味を楽しめます。
バスク地方で味わうバスク料理

バスク地方は「美食の都」と呼ばれ、街中には星付きレストランから気軽なバルまで選択肢が豊富です。
- サンセバスチャン(San Sebastián)
ミシュラン星付きレストランが集まる世界的な美食都市。一口料理のピンチョスを楽しめるバルも人気。旧市街のバル巡りは旅の人気プランです。 - ビルバオ(Bilbao)
近代アートと伝統料理が融合した街。旧市街はサンセバスチャンと並ぶバル巡りの人気スポットです。 - ナバラ(Navarra)・アラバ(Álava)
素朴な郷土料理が残るエリア。リオハ・アラベサやナバラ州のワイナリー巡りと合わせて訪れるのもおすすめです。 - フランス・バスク地方(Bayonne, Biarritzなど)
香り高い煮込み料理やガトー・バスクなど、フランスらしい上品な味わいが楽しめます。海辺のリゾート地ビアリッツでは、星付きレストランやカフェも充実しています。
✅サンセバスチャンで人気の美食体験
ピンチョス食べ歩きツアー
✅ビルバオでおすすめの街歩き&美食体験
美食の街ビルバオ:地元の味を探索
日本で味わうバスク料理

日本でも近年バスク料理のレストランが注目を集めています。
- レストラン エネコ東京(東京・六本木)
ビルバオ郊外の三つ星シェフ、エネコ・アチャが手がけるモダン・バスク料理の名店。最先端の美食とともに、特別な日にふさわしい贅沢な体験ができます。 - エチョラ(大阪・肥後橋)
本場バスクの味を忠実に再現した正統派レストラン。向かいの姉妹店バルでは現地風にバル体験もできます。ワインとのペアリングも評判です。 - アラルデ(大阪・心斎橋)
炭火焼を中心に、バスク地方の伝統を感じる料理を提供。現地で研鑽を積んだシェフが生み出す力強い料理が魅力の一軒です。
本場の技術と感性を受け継いだシェフたちが、現地さながらの味を届けています。
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バスク地方は、新鮮な食材、伝統と革新の融合、食を通じた社交文化で美食の地として発展してきました。
スペインとフランスの影響を受けながらも、バスク料理はバスク地方の土地と文化に深く根ざしています。自然とともに生きる暮らし方や強い郷土愛、コミュニティ意識に支えられたバスク地方の食文化は魅力の宝庫です。
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