ひんやりとした石畳の上に、朝の光が広がるサンセバスチャンの旧市街。昼間や夜の喧騒が嘘のように、店の扉は無言のシャッターに覆われています。
どこかで朝食をとろうと思ったけれど…
コーヒーの香りで朝を始めたい
まだ眠っているようにみえるサンセバスチャンですが、街のあちこちでエスプレッソマシンの唸る音や笑い声が響いています。
この記事では、バスクに住む筆者が朝のバルの楽しみ方とおすすめのバル巡りルートを紹介します。記事を読めば旅の時間をムダにすることなく、サンセバスチャン観光を楽しめます。観光客の少ない朝だからこそ見える、サンセバスチャンの素顔を楽しんでください。
サンセバスチャンの朝バル事情|営業時間と雰囲気

サンセバスチャンの中心部では、エリアによりバルの客層や営業時間が異なります。バルの雰囲気も朝と他の時間帯とでは異なります。
バルの営業時間|9時から始まるサンセバスチャンの朝
- 旧市街は観光客が多い。バルの開店は遅め
- 新市街は地元客やサーファーが多い。バルの開店は早め
| エリア | 開店時間 | 閉店時間 ※夏は+1時間 |
|---|---|---|
| 旧市街 | 9:00-12:30 | 22:30-23:00 |
| 新市街 | 8:30-9:30 | 22:30-23:00 |
※ 翌日が休みの場合、開店・閉店時間が1時間ほど遅くなります。
11時頃になると人気店には行列ができ始めます。ゆったり過ごしたいなら9〜10時半の来店がおすすめです。
バルの雰囲気|朝のサンセバスチャンは地元度高め

朝のバルは観光客が少なく、サンセバスチャンの日常が感じられる時間帯です。地元の人のバルでの過ごし方はさまざまです。
- 朝の1杯や朝食を楽しむ
- 新聞を読む
- 店の人と会話する
ランチやディナー前にはバルをハシゴしますが、朝は一軒のバルでゆっくり過ごす人が多いです。
朝バルの楽しみ方と人気メニュー|サンセバスチャン編

サンセバスチャンでの朝バルの楽しみ方
朝のバルは、昼や夜とは違う楽しみ方があります。
- 一軒のバルでゆったり過ごす
- 店員さんや地元の人と交流する
- 現地の朝食を試す
朝は人が少ないので、混雑時のようにすぐ店を出る必要がなく店内でゆったり過ごせます。店員さんや地元の人も朝は心の余裕があるので、会話を楽しんだりおすすめを聞いたりする絶好の機会です。現地の朝食を試してみるのも旅の思い出になります。
朝バルの人気メニュー

現地の朝食は、オムレツやバゲットサンドイッチ、甘いパン類が定番です。
- 食事系:トルティーリャ(スパニッシュオムレツ)、トースト、バゲットのサンドイッチ
- 甘い系:クロワッサン、デニッシュ、ビスコッチョ(スペイン風パウンドケーキ)
- ドリンク:コーヒーのほか、ワインなどのお酒を頼む人も
一番人気はトルティーリャ。ジャガイモ入りやハム・チーズ入りなど種類が豊富です。デニッシュやケーキも店により注文できますが、カフェより品揃えは少ないです。サンセバスチャンのバルは朝もメニューが豊富ですが、開店直後は準備中のため温かいピンチョスが注文できない場合があります。
バルのキッチンがオープンする時間帯には、バルのショーケースにない温かいピンチョスや小皿料理(raciones ラシオネス)が注文できます。注文後に調理されるメニューなので、できたてを食べられるのが魅力です。メニューはメニュー表や黒板でチェックできます。
▶朝は何を食べる?バスクの朝食
▶【朝も注文OK】バルのアルコールメニュー
▶【お茶やココアも】バルのノンアルメニュー
【朝から行ける】サンセバスチャンのバル巡りルート
サンセバスチャンの新・旧市街にある5つのバルを巡るモデルルートです(表示されない方はこちらのリンクをクリック)。実際に筆者が2025年9月に訪れました。各店の詳しい説明は次のセクションで見られます。
- 注文:コーヒー、キノコのトースト、カニのグラタンなど温かいピンチョス数点
- コメント:コーヒーの香りとキノコのうま味が広がるトーストで、心地よい朝をスタート

腹ごなしもかねて新市街へ徒歩で移動(約15分)。橋を渡れば新市街
- 注文:チャコリ、カツオのピンチョス、豚ハムのサラダ
- コメント:朝の光に輝く魚介のピンチョスは、地ワインのチャコリと相性抜群
- 注文:赤ワイン、イワシのオムレツ、創作ピンチョス数点
- コメント:店内は開店するなり活気十分。湯気の立ったオムレツは身も心も温まる味わい
再び橋を渡り旧市街へ。この時間には多くのバルが開店
- 注文:ビール、マッシュルーム、エビのフライ
- コメント:肉厚なマッシュルームと赤ピーマンの詰め物をつまみに、昼ビールで乾杯
- 注文:甘口ワイン、チーズケーキ
- コメント:甘く濃厚な香りが漂う店内。トロリとしたチーズケーキと甘口ワインの余韻で朝の締めくくり
【サンセバスチャン観光】朝行くべきバル5選

サンセバスチャンの旧市街・新市街で朝から楽しめる、地元で評判のお店を集めました。紹介したお店は全て英語メニューがあり、温かいピンチョスも注文できます。
Bar Sport|サンセバスチャン旧市街の超人気バル

サンセバスチャン旧市街の中心にありトップレベルの人気を誇るバル。朝9時から営業しています。朝の光が差し込むショーケースには出来たてのピンチョスが並びます。隣のテーブルでは常連のおじさんたちがワイン片手に語り合いにぎやかです。
おすすめポイント
- 料理が美味しくサービスがいいので、地元客、観光客ともにリピーターが多い
- 日本語のメニューがある
朝のおすすめメニュー

- キノコとベーコンのトースト:とろとろ半熟卵の上にキノコとベーコンのうま味が加わった欲張りなトースト
- チャングロ:サンセバスチャン名物のカニのグラタン。濃厚なカニの風味を楽しめる贅沢な一品
利用のコツ
- 混雑をさけたい場合、9〜10時半頃の利用が狙い目
- フォアグラやチャングロなど温かいピンチョスが人気メニュー
営業時間:9:00〜23:00前後
» Bar Sport(外部サイト)
Bodega Donostiarra|チャコリと相性抜群!魚介のピンチョス

概要
サンセバスチャン新市街にある人気バル。白を基調とした店内に朝の光が差し込み、コーヒーの香りが漂います。出勤前のビジネスマンから家族連れの観光客まで、朝の時間を楽しむ人でにぎわいます。
おすすめポイント
- イカフライなど小皿メニューが豊富
- テーブル席が多く、ゆっくり食事ができる
朝のおすすめメニュー

- インドゥライン:オイル漬けのカツオにアンチョビ・唐辛子・オリーブをのせた名物ピンチョス。味のバランスが絶妙
- 豚鼻肉のハム:珍しい豚鼻肉を使ったハムはサッパリとした味わい。酢漬け唐辛子のピリッとしたアクセントとマッチ
利用のコツ
魚介のピンチョスには、微発泡の地元白ワイン「チャコリ」を合わせるのがおすすめ
営業時間:9:00〜23:00前後
» Bodega Donostiarra(外部サイト)
Bergara|サンセバスチャンのモダンと伝統の融合

概要
ミシュランガイドに掲載されているほか、数々の受賞歴がある名店。サンセバスチャンの中心部から少し離れたところにありますが、開店前から地元客と観光客が列を作っています。スタイリッシュな店内のショーケースに並ぶ創作ピンチョスは見た目も楽しめます。
おすすめポイント
- トレンドを取り入れつつ伝統を大切にした味わい
- フレンドリーな接客とこだわりのワインセレクト
朝のおすすめメニュー

- イワシのオムレツ:店員さんの一押し。ふわふわ卵とジューシーなイワシの組み合わせは間違いナシ。ピリッと唐辛子のアクセント。
- イチャソ:アンコウのシーフードクリーム。エビとネギに白ワインのチャコリが深みをプラス
利用のコツ
- 超人気店のため開店直後(11時前後)の来店がおすすめ
- ピンチョスやワイン選びに迷ったら、スタッフに相談を
営業時間:11:00〜23:00前後
» Bergara(外部サイト)
Bar Martínez|サンセバスチャンで80年以上愛される伝統バル

概要
サンセバスチャン旧市街で80年以上続く老舗のバル。サンセバスチャン市内で人気の観光スポット「サンタ・マリア教会」からすぐです。店内はやや暗めで落ち着いた雰囲気。来店時は観光客が中心になる昼前だったので、地元客より観光客の姿が目立ちました。
おすすめポイント
- 魚介やキノコなど伝統的な食材を使ったピンチョスが豊富
- 観光スポットや有名なバルから近い
朝のおすすめメニュー

- マッシュルームのピンチョス:ニンニクと唐辛子のアヒージョソースが効いたマッシュルーム。ソースはパンに染み込ませて最後の一口に
- 赤ピーマンの詰め物:甘みのある赤ピーマンとカツオのタルタルソースがクセになる味わい
利用のコツ
エビのフライなど、揚げ物類は注文してから時間がかかる場合あり
営業時間:11:00〜23:00前後
» Bar Martínez(外部サイト)
La viña|バスクチーズ発祥の店

概要
甘いもの好きなら外せないバスクチーズケーキ発祥のバル。食後のデザートにぴったりです。常に観光客でにぎわう店内のカウンターには、焼きたてのチーズケーキがずらり。その光景に思わず笑みがこぼれるスイーツの聖地です。
おすすめポイント
- 元祖バスクチーズケーキが味わえる
- テイクアウトOK
朝のおすすめメニュー

- バスクチーズケーキ:表面は香ばしく、中は濃厚でクリーミー。1皿はたっぷり2カット入り
利用のコツ
お腹いっぱいのときはテイクアウトがおすすめ。
営業時間:10:30〜17:00、18:30〜23:00
» La viña(外部サイト)
まとめ:朝のバル巡りはサンセバスチャンの素顔を知るチャンス
サンセバスチャンの朝は、地元の人の暮らしが息づく静かな時間です。朝9〜11時頃は混雑が少なく、ゆったりした時間を過ごせます。この時間に開いている人気のバルは以下の通りです。
| エリア | 店名 | 開店時間 |
|---|---|---|
| 旧市街 | Bar Sport | 9:00 |
| La Viña | 10:00 | |
| Bar Martínez | 11:00 | |
| 新市街 | Bodega Donostiarra | 9:30 |
| Bergara | 11:00 |
※営業時間は季節や日によって変動する場合があります。
記事で紹介した次のルートを参考に、お腹の具合や自由時間に合わせて朝のバル巡りを楽しみましょう。
【モデルルート】
9:30 Bar Sport → 10:30 Bodega Donostiarra → 11:00 Bergara → 11:20 Bar Martínez → 11:45 La Viña
胃も心も温まる朝のバル体験で、観光地でないサンセバスチャンの魅力に触れてください。



