バスク旅行でバルに入ったはいいけれど…
- どんなお酒が頼めるのかわからない
- 代表的なワインやビールの味わいを知りたい
- 地元の人が飲んでいるものを頼んでみたい
そんな風に感じている方は少なくありません。実は、バスクのバルではドリンクメニューがないのが一般的。いきなり「何飲む?」と聞かれて困る旅行者が多いのが現実です。
この記事では、バスク在住10年以上・そしてワインアドバイザーでもある筆者が、ワインをはじめ、現地で親しまれている定番アルコールドリンクをわかりやすく解説。
ビールやワインから、チャコリやパチャランなどのご当地酒、シーン別に楽しむ人気の一杯まで、旅行者が自信を持って注文できるようにサポートします。
この記事を最後まで読めば、現地の定番のお酒から好みの一杯を頼めるようになります。バスクのバル文化を、迷わず・気軽に・思いきり楽しみましょう!
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バスクのバルで飲める定番アルコールドリンクとは?

現地ではビールやワインが人気ですが、それ以外にもユニークで魅力的なドリンクがたくさんあります。
バスクのバル文化では、ただお酒を飲むだけでなく、誰と・どこで・どんな風に楽しむかがとても大切。この記事では、地元でよく飲まれているお酒を、選び方のポイントやおすすめのシーン別にわかりやすく解説します。
まずは基本!サイズが選べるビール(Cerveza)

バスクでも、ビール(Cerveza=セルベッサ)は王道の一杯。現地では飲み方に応じてサイズを選ぶのが一般的です。
- カーニャ(Caña):中サイズ(約200ml)の生ビール。最もよく注文される定番スタイル。
- スリート(Zurito):グラス1/3ほどのミニサイズ(約100ml)。バルをハシゴする文化にぴったり。
- ハラ(Jarra):ジョッキサイズ(約500ml)。あまり一般的ではありませんが、たっぷり飲みたいときに。
定番のスペインビールブランド

バルでよく見かけるビール銘柄は、以下の4つです。
- サン・ミゲル(San Miguel):軽やかでクセがなく、苦味も控えめ。すっきり爽快で、飲みやすい一本。
- ケレル(Keler):サンセバスチャン発のラガービール。麦芽とトウモロコシ由来のやわらかなコクが特徴で、軽やか&まろやかな飲み口。
- エストレーリャ・ガリシア(Estrella Galicia):スペイン北西部・ガリシア地方の伝統あるラガー。モルトの旨みと程よい苦味、爽やかな後味がそろったロングセラーブランド。
- マオウ(Mahou):マドリード発の定番ブランド。ホップの香りが豊かで、しっかりとしたコクと苦味のある一本。
瓶ビールを飲みたいときは?

バルによっては冷蔵庫に瓶ビールが並んでいることがあります。気になる銘柄があれば、そのまま瓶をカウンターへ持って行けばOK。
カウンターで直接、スペイン語で注文したい場合はこう伝えてみましょう:
「Una cerveza en botella, por favor.(ウナ・セルベッサ・エン・ボテリャ・ポルファボール)」
=「瓶ビールを1本ください。」
発音が不安な場合は、指さしや写真を見せるだけでも十分通じます。気負わずにトライしてみてくださいね。
▶そのほかの注文フレーズを知りたい方はこちら。
夏にぴったり!さっぱり飲めるレモンビール(Clara/Cerveza con limón)

「ビールはちょっと苦手…」という方にも人気なのが、レモン味の炭酸飲料で割ったビール。現地では「クララ(Clara)」または「セルベッサ・コン・リモン(Cerveza con limón)」と呼ばれ、ほんのり甘く、爽やかなのどごしが特徴です。
アルコール感が和らぐので、暑い日の昼間や食前にもぴったりの一杯。地元の人たちも、軽く飲みたいときによく注文しています。
地元の味と相性抜群!バスクで楽しむワイン(Vino)
ワイン産地でもあるバスク地方には、ワイン文化が根付いています。バルでは幅広いラインナップから好みの一杯を選ぶことができます。
ここでは、バスク名物の白ワイン「チャコリ」を始め、バスクで親しまれている赤・白・ロゼワインを紹介していきます。
💡 カバを頼みたい人は要注意!
スペインを代表するスパークリングワイン「Cava(カバ)」ですが、バスクのバルではあまり見かけないのが実情。
その代わり、最近はより軽やかな口当たりの微発泡ワイン「Frizzante(フリッツァンテ)」が人気です。気になる方は、店員さんにあるかどうか聞いてみましょう。
爽やかに楽しむ白ワイン(Vino blanco)

チャコリ(Txakoli)
バスク名物の辛口・微発泡白ワイン。青リンゴ、柑橘類の香りとシャープな酸味が特徴で、魚介料理と相性抜群。高い位置からグラスに注ぐサーブスタイルも見逃せません。
その他の定番白ワイン(品種別)

バスクのバルでは、ワインを注文する際に「産地名」または「ブドウ品種名」で呼ぶのが一般的。「ルエダ」「リオハ」といった有名産地は産地名で、またシャルドネ(ブドウの品種)などは各地で作られているので、そのまま品種名で注文されることが多いです。
・アルバリーニョ(Albariño)
スペイン北西部・ガリシア地方のリアス・バイシャス産が有名。華やかな香りとフルーティーな酸味が特徴で、魚介との相性は抜群。
・ベルデホ(Verdejo)
ルエダ地方を代表する白ワイン。トロピカルフルーツを思わせる香りと、軽やかな飲み心地が魅力。注文時は「ルエダ」と頼んでもOK。
・シャルドネ/ソーヴィニヨン・ブラン
スペイン各地で造られる国際品種。シャルドネは柑橘類の爽やかさとキリッとした酸味を楽しめます。ソービニヨン・ブランはハーブなどの爽やかな香りとキレのある味わいが特徴。暑い季節にもぴったり。
コクを楽しむ赤ワイン(Vino tinto)

スペイン有数の赤ワインの産地であるリオハ(Rioja)とナバラ(Navarra)産が定番。
コクのある味わいで、肉料理や熟成チーズにぴったりです。地元のバルでも「とりあえず赤で」という”赤派”も多数。
料理を選ばないロゼワイン(Vino rosado)

ロゼといえばナバラ産。フルーティーでドライな口当たりが特徴で、暑い季節にキリッと冷やして飲むのがおすすめ。どんな料理にも合う、万能な一杯です。
バスク流・ワイン選びのポイント

✔ 味の好みで選ぶなら
・さっぱり派:白ワインやロゼ
・しっかり派:赤ワイン(リオハやナバラ)
✔ 料理とのペアリングで選ぶなら
・魚介にはチャコリやアルバリーニョ
・肉料理や濃い味にはリオハやナバラの赤ワイン
✔ 熟成タイプもチェック!
スペインのワインには、樽での熟成期間による呼び名があります。
- Joven(ホベン):若飲みタイプ。軽くてフレッシュ。
- Crianza(クリアンサ):若飲みタイプより飲みごたえあり。
- Reserva(レゼルバ)/Gran Reserva(グラン・レゼルバ):重厚で複雑な味わい。
気軽でクセになる!ユニークなミックス系ドリンク

バスクのバルには、ちょっと意外な組み合わせがクセになる「ミックス系ドリンク」もあります。お酒に強くない方や、軽めに楽しみたいときの選択肢に。
カリモチョ(Kalimotxo)
赤ワイン × コーラという意外な組み合わせは、バスク生まれの定番カクテル。
軽めの飲み口がクセになる味わいで、特にフェス・イベントなど、カジュアルな場面でよく飲まれています。
氷やレモンを加えて爽やかに楽しむのが現地流。キンキンに冷やして飲むのがポイントです。
レモンビール(Clara)
上で紹介した通り、軽やかに飲みたいときにおすすめ。ワインやビールが苦手な方にも◎。
酸味が爽快!バスク名物のシードル(サガルドア)

サンセバスチャンがあるギプスコア県(※)でぜひ試してほしいのが、地元産のシードル(Sidra=シードラ)。微発泡の辛口リンゴ酒です。
甘いシードルとは違い、酸味が強くてすっきりドライ。ピンチョスや魚介料理との相性も抜群。チャコリのように高い位置から注ぐスタイルにも注目です。
※シードル産地以外のバルでは見かけないことも。ぜひともシードルを試してみたい!という方は、「シードレリア(シードル醸造所)」を訪れるのがおすすめ。
ランチ前に一杯!バスクの食前酒ベルムー(Vermut)

バスクの「アペリティフ」文化を感じるなら、ベルムー(Vermut)は外せません。ベルムーは一般的に「ベルモット」と呼ばれる、赤ワインにハーブやスパイスを漬け込んだほんのりビターなフレーバードワインです。
バスクではオレンジスライスやグリーンオリーブを添えて飲むのが一般的。とくに週末のランチ前、バルで軽く一杯を楽しむのにぴったりです。

食後にゆったり。バスクの定番・食後酒(Copa/Cubata)
バスクでは、食後に一杯楽しむ「コパ(Copa)」や「クバタ(Cubata)」と呼ばれる食後酒が定番。食後のリラックスタイムにぴったりで、バルでも自宅でもよく飲まれています。
パチャラン(Pacharán)

バスク周辺で親しまれている、アニス風味のスピノサスモモのリキュール。深い紅色と独特の香りが特徴で、氷を入れてロックで飲むのが定番です。
ジントニック(Gin-tonic)

スペイン全土で根強い人気を誇る定番カクテル。バルによっては、ジンの銘柄、トッピング(柑橘類、ハーブ、スパイスなど)を選べることも。テーブル席でも目の前で作ってくれることがあり、気分が上がります。
クレマ・デ・オルホ(Crema de orujo)、アニスなどのリキュール類

クレマ・デ・オルホ(Crema de orujo)は、ブドウの搾りかすを蒸留した酒「オルホ」に生クリームや甘味を加えた、クリーミーでまろやかなリキュール。
ベイリーズに似た味わいで、とろっと濃厚な口当たりが特徴です。デザート感覚で楽しめる食後酒として人気。よく冷やして小さめのショットグラス(Chupito=チュピート)で提供されます。アルコール度数は15%前後とやや高め。
また、同じオルホをベースに**ハーブを漬け込んだ「オルホ・デ・イエルバス(Orujo de hierbas)」**も定番の一杯。アニスリキュールと並んで、食後の締めによく飲まれています。

まとめ|バスクのバルで、自分好みの一杯を見つけよう
バスクのバル文化では、ドリンクの注文はただの「飲み物選び」ではなく、その場をどう楽しむかを決める大切な一歩です。
- 定番のビールは、サイズも種類も豊富。軽く1杯から楽しめるのが魅力
- 地元ワイン「チャコリ」や「リオハ」の赤は、料理との相性も抜群
- カリモチョ、パチャラン、バスクシードルは、バスクならではの地元酒
- 食後にはスピリッツやリキュール類をゆっくり楽しむのもおすすめ
現地のバルには、日本のようなメニュー表がないことが多く、あらかじめどんなお酒があるのかを知っておくことで、迷わず・自信を持って注文できるようになります。
バスク旅行の思い出を、もっと豊かにしてくれるバル巡り。
このガイドが、あなたにとって「はじめの一杯」を選ぶヒントになりますように。
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